シマちゃんへ [野良猫から飼い猫へ(シマちゃんの話)]
今日はシマちゃんの命日。
一年前はたくさん泣いてしまった。
一年前も今日みたいに晴れていたんだよね。
シマちゃんはよい子だったから、天国で幸せに暮らしているんだろうな。
時々は私達のことを見に来てくれているよね!
さよなら、シマちゃん・・ [野良猫から飼い猫へ(シマちゃんの話)]
頭を触らせてくれた頃から、シマちゃんはゴハンを食べなくなった。
少し前から食欲はなかった。でも、好きなものは食べたから、「慣れてきてワガママ言えるようになったのかな?」と軽く考えてしまっていた。
それが、大好物のお刺身をあげても、ほんの一口しか食べない。やっぱりおかしい・・・。
せっかく馴れてきたのに、病院へ連れて行ったらシマちゃんに嫌われちゃう!と思ったけど、心配だったので、病院へ連れて行った。
結果は・・・・急性腎不全。猫には多い病気なのだそうだ。
治療のための通院が始まったが、シマちゃんはみるみるうちに弱っていった。病院へ行くと、シマちゃんは悲しそうに鳴いた。「なんでこんなことをするの」と言っているようだった。猫には、治療の意味はわからない・・。
痛くて、怖い思いをしながら死んでいくことは避けたかった。もう助からないと感じて、通院を止めることにした。
ほとんど動けなくなっても、喉は渇くんだよね。口元に水を持っていくと、一生懸命に水を飲む。水を飲んでは眠る。
そして水も飲まなくなったシマちゃんは、虹の橋を渡っていった。
もっと早く病院へ行けばよかったんだな。最初に保護した時に、血液検査をしておけばよかったんだな。私の気遣いが足りなかったんだ・・・・・。
シマちゃん、ごめんね。
シマちゃんがうちで暮らしたのは2ヵ月半。短かったけれど、とても楽しかった。
シマちゃん、ちょっとしか一緒にいられなかったけど、
今でもシマちゃんのこと大好きだよ!!
飼い猫になったシマちゃん [野良猫から飼い猫へ(シマちゃんの話)]
外にいた時は尻尾をピンと立ててそばに寄ってきてくれたシマちゃんだったが、家の中に入れてからはダンボールで作った猫ハウスにこもりっきりになった。トイレはすぐに覚えたけれど、人間がいる時は怖くてトイレに行けなかったようで、何度か粗相もした。
夜、人間が寝静まると、逃げ出す場所を探して家中を探検する。人間が起きてくると猫ハウスに逃げ込む。そんな毎日だった。
それでも、少しずつ馴れてきた。トイレに行く時に「にゃお~ん」と鳴いて、「こっちに来ないで」と人間に伝えるようになった。ゴハンの時にはグルグルと喉を鳴らしたりもした。用もないのに猫ハウスから出てきて、人間の近くで座るようになった。
そしてある日、ゴハンを食べ終わったシマちゃんはじっと私のことを見つめる。何か言いたいことがある顔だ。思い切って手を伸ばして頭を撫でた。一瞬、首をすくめたシマちゃんだったが、すぐに「もっと撫でて~」と頭をぐいぐいと手のひらに押しつけてきた。
やっぱり猫なんだ!
人間に甘えたい、どこにでもいる普通の猫なんだよ!
野良猫だって、飼い猫になれるんだよね!!!
野良猫から飼い猫へ2 [野良猫から飼い猫へ(シマちゃんの話)]
猫トイレやキャットフードを購入し、ダンボールで猫ハウスを作ったものの、肝心のシマちゃんはなかなか捕まえられなかった。
市販の猫用おやつや茹でた鶏肉などを持って、毎日シマちゃんのところへ通った。シマちゃんは私達の姿を見ると、嬉しそうに寄ってくる。でも決して、人の手からは食べなかった。鶏肉を乗せた手を出すと、パンチして、鶏肉を落として食べた。
それでも、他の野良猫が私達に近づくと、とても怒った。「この人間は私の人間なのよ!」とでも言っているようだった。
夢中で食べているところを押さえつけたこともあったが、暴れて逃げ出してしまう。もう来てくれないかと思っても、次の日にはいつもの場所でちゃんと待っていた。
どうやって捕まえたらいいんだろう・・・・。
シマちゃんは雌猫だった。このままずっと捕獲できなければ、いつかは子猫を産んでしまうかもしれない。そうなったら、シマちゃんは子猫を連れて私達を頼ってくるだろう。
何とかしなくてはと悩んだ結果、猫ボランティアの人に手伝ってもらうことを思いつく。今まで、猫ボランティアのことはほとんど知らない私だったが、市内で活動しているボランティア団体へ事情を説明すると、快く協力していただけることになった。
猫ボランティアさんが来て下さった日に、シマちゃんは捕まえられなかった。
仕方がないので捕獲の仕方や注意点を教えてもらう。捕獲機を借りた私は、苦労の末、シマちゃんの保護に成功!!!シマちゃんは我が家の一員となった。
シマちゃんの保護や捕獲機の貸し出し、引き取りのために、ボランティアさんは何度も、ご自宅と我が家を往復して下さった。ボランティアさんの協力がなければ、シマちゃんはうちの子になれなかった。
ボランティアさんには、今でもとても感謝している。
野良猫から飼い猫へ1 [野良猫から飼い猫へ(シマちゃんの話)]
↑この猫はシマちゃん。実は、このシマちゃんとの出会いがあったからこそ、今のトラヨとの生活がある。
以前から猫を飼いたがっていた娘が「小さい猫がいるからうちに連れてきたい」と言い出したのが全ての始まりだった。
とりあえず、その小さい猫を見にいったが、全然小さくない。生後半年くらいの大きさだろうか・・・。(たしかに成猫に比べると若干小柄だったけど)
しかも、餌を出してもそばに来ない用心深い猫。
どうやって家に連れて帰ればいいのだ!!!
餌を持って猫を追い回したものの、当然捕まえることもできなかった。あきらめて帰りかけた私と目が合った野良猫がいた。それがシマちゃんだ。
シマちゃんは私たちの様子をずっと見ていたのだ。そして、さっとそばに寄ってきた。餌を出すとその場で食べた。
シマちゃんは大きな成猫。でも・・・・この猫なら捕まえられるかも!!!
この日から、私と娘は、「シマちゃんを捕獲するため」に毎日通うことになる。餌を与え、馴れて油断したところを捕まえるためだ。
しかし・・・・私には大きな不安があった。
ちゃんと捕獲できるのだろうか?野良猫を完全室飼いにできるのだろうか?元々、私達が餌などあげていなくても、生きてこられたのに、中途半端に手を出して、捕獲がうまくいかなかったらどうしたらよいのだろう???
色々考えているうちに不安はどんどん大きくなった。1週間ほど経ったときに、私は娘に「野良猫だから捕まえるのは無理だよ。もう餌をあげるのは止めよう」と言ってしまった。娘は逆らうこともできず、従うしかなかっただろうな。
その日・・・餌を持っていく時間が過ぎ、さらにどんどん時間が過ぎ、やっぱりシマちゃんが気になった。もういないだろうな・・・・と思ったが、どうしても気になってしまった。ガマンできなくて様子を見にいった。
シマちゃんは待っていた。「まだかな、まだかな、今日は遅いな」という気持ちが全身からあふれていた。いつも物陰に隠れているのに、待ちきれなくて見通しのよい場所にちょこんと座っていた。そして、私達の姿を見ると尻尾を立てて寄ってきた。
私はシマちゃんのことを裏切ろうとしたのに、来てくれると信じていたんだな。ごめんね、ごめんね、本当に申し訳ない・・・・・・。
この日、私はどんなに困難があっても、必ずシマちゃんをうちに連れて行くと決心をしたのだった。